自動車整備士資格は働きながら取れる?3級・2級・1級合格率や難易度、独学での取り方を解説!

自動車整備士は車両の点検や修理を行う専門職です。資格取得により高度な技術や知識を身につけられ、キャリアアップを実現できるでしょう。

しかし、費用や時間の面から「働きながら資格取得を目指したい」という方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、働きながら自動車整備士資格を取得する方法、合格率や難易度について解説します。

令和9年から始まる新制度についてもご紹介するので、自動車整備士の資格取得を目指す方は知識として頭に入れておきましょう。

自動車整備士とはどんな資格?

自動車整備士は国家資格で、「メカニック」とも呼ばれます。主な業務内容は、自動車のメンテナンスや点検、調整、修理、さらには分解や組立といった専門的な業務です。

また、車に不具合が発生した際に原因調査や修理作業を、迅速かつ的確に行う役割も担っています。

資格を取ると整備士としての信頼度は高まり、専門技術者や整備工場の管理者など、さまざまなキャリアを築いていける職種です。

自動車整備士の仕事内容

自動車整備士は主に4つの業務を行います。

点検整備 :6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月ごとの法定点検を行う

分解整備 :車検や修理の際にパーツを取り外して修理する

緊急整備 :走行中にエンジンがかからなくなるなどの急な故障に対応

④その他  :板金・塗装などボディ修復、車両の外観を整える役割を果たす

また、エンジンやブレーキの整備、オイル交換、タイヤの交換など多岐にわたる業務を通じて、車の安全性と快適な運転をサポートしています。

自動車整備士の平均年収

自動車整備士の平均年収は、経験や資格によって異なりますが、一般的には400万〜600万円程度です。

とくに、1級整備士や特定の技術を持つ整備士はより高い年収も期待できます。

■整備要員平均年収(千円)※自家を除く

平成30年度3,911.4
令和元年度3,924.3
令和2年度3,963.0
令和3年度3,987.0
令和4年度4,043.8
令和5年度4,172.8(前年度+3.2%)

出典:一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会 「令和5年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について 自動車整備業の概要(p.5) 」https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R05jittaityousa.pdf

一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会によると、整備要員の平均年収はおよそ417万円*で、前年より約13万円増加。

民間の平均給与が458万円**であることから、整備士の年収はやや控えめです。しかし、年収はここ10年連続で上昇しており、今後のさらなる向上が期待されています。

*一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会 「令和5年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について 」https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R05jittaityousa.pdf

**国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2022.htm#a-01

働きながら自動車整備士資格3級を取得する方法

無資格者が三級自動車整備士資格を取得するには、学科と実技の勉強、そして実務経験が必須です。

資格の取得方法は二つ。国土交通省が実施する「自動車整備士技能検定試験」か、日本自動車整備振興会連合会が行う「自動車整備技能登録試験」を受けます。

その際、資格の勉強には、独学か専門学校のどちらかを選択することとなります。

独学で学ぶ場合は、各都道府県における自動車整備振興会で開催される技術講習所(二種養成施設)に通うことがおすすめ。

養成施設の講座を受講した場合の方が合格率90%と高いからです。一方で、独学の場合の合格率は20〜40%と厳しめ。

講習を修了すると、修了課程に対する実技試験が2年間免除され、免除期間中に検定試験または登録試験の学科試験に合格することで資格を取得できます。

また、働きながら3級資格取得を目指す場合は、整備工場での1年以上の実務経験が必須。

実務経験を積んだ後、3級試験に挑戦しましょう。

なお、2級を目指すには、3級取得後に3年以上の実務経験が必要です。

車検のコバック(運営:㈱加藤自動車相談所)では、実際の整備作業を通じて知識を深め、必要な実務経験を積むことができます。社内研修や勉強会によって試験対策もできるため、大きなメリットです。

【令和9年】自動車整備士の新制度とその影響

令和9年から自動車整備士の新制度が開始予定なのをご存じでしょうか。

制度が変わる理由は2つあり、「先進技術・電動車の進化」と「自動車整備士の不足」です*。

とくに電気自動車(EV)やFCV(燃料電池自動車)の普及、そして整備士の区分1級〜3級までの役割差がさほど大きくないことから、自動車全般に係る知識や技能を総合的に有する資格として定められるようです。

今後はより専門的なスキルを求められるようになるため、資格の重要性は増すでしょう。

主な変更点は以下のとおりです。

引用:国土交通省「自動車整備士資格制度の見直しについて 報告書 3. 新たな自動車整備士資格制度の概要 3.1. 自動車整備士資格制度の考え方(p.10)」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001489710.pdf

なお、 一級自動車整備士試験における口述試験の廃止や、二級及び三級並びに特殊自動車整備士の受験資格の実務経験の短縮なども予定されています。

まだ見直しの詳細は未確定な部分が多いですが、全体として資格取得が容易になる方向に進んでいるようです。

*国土交通省「自動車整備技術の高度化検討会」https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000023.html

合格率からみる自動車整備士資格の難易度

日本自動車整備振興会連合会の「自動車整備技能登録試験」を参考に、資格の難易度をみていきましょう。

以下は、最新の試験合格率を示したものです。

令和5年度 第1回令和5年度 第2回
試験種目等級区分・種類合格率等級区分・種類合格率
学科二級ガソリン61.3%一級小型(筆記)59.1%
二級ジーゼル56.8%二級ガソリン86.8%
二級2輪78.0%二級ジーゼル93.4%
三級シャシ64.4%二級シャシ86.0%
三級ガソリン74.0%三級シャシ67.4%
三級ジーゼル57.7%三級ガソリン65.6%
三級ジーゼル57.6%
三級2輪83.0%
実技二級ジーゼル33.3%
三級ガソリン57.3%
一級小型自動車・学科筆記59.1%
口述97.5%
一級小型自動車・実技31.9%

出典:日本自動車整備振興会連合会「試験結果 令和5年度第1回」https://www.jaspa.or.jp/mechanic/result/2023_1st.html

日本自動車整備振興会連合会「試験結果 令和5年度第2回」https://www.jaspa.or.jp/mechanic/result/2023_2nd.html

一級自動車整備士の合格率:筆記・実技ともに約50%前後【狭き門】

一級自動車整備士の試験は非常に難関で、筆記と実技試験の合格率は約50%前後です。

口述試験の合格率は90%台後半と高いものの、筆記・実技試験の難しさが際立っています。

さらに、実実技免除者は自動車大学校の4年コースに限られるため、多くの受験者が実技試験を受けることになります。そのため、学科と実技を合わせた全体の合格率は約20%と狭き門です。

資格取得後は、高い知識・技術レベルを活かして指導者としての道も開かれ、キャリアアップや年収向上も期待できるでしょう。

二級自動車整備士の合格率:筆記約80%・実技約20%

二級自動車整備士の筆記試験の合格率は約80%と高めですが、これは自動車大学校でしっかり学び、実技免除で合格する人が多いためです。

一方、実技試験は受験機会が限られており、難易度が上がります。とくに、二級二輪の実技試験は実施されておらず、実技免除者のみが資格を取得できる状況です。

したがって合格者数も少なく、ガソリン整備士で二桁、それ以外は一桁台にとどまり、実技試験の合格率は約20%です。

三級自動車整備士の合格率:筆記・実技ともに60~80%【比較的高い】

三級自動車整備士の合格率は、筆記・実技ともに60〜80%で、初心者でもチャレンジしやすい資格です。

年度によっては難易度が変動し合格率が60%を切る年もありますが、学科試験は基礎的な知識が問われるため、特別に難しいわけではありません。

また、実技試験の合格率も二級と比べて高めなので、安心して挑戦できる資格といえます。

おすすめ勉強法と独学の必要勉強時間

自動車整備士資格取得には、計画的な学習が鍵。まず教科書や参考書で基礎を固め、エンジンや電気系統、足回りといった重要分野に重点を置きましょう。

過去問や模擬試験で試験形式に慣れることも大切です。

三級合格には約100〜150時間、二級では200〜300時間、さらに一級では300時間以上の勉強が目安。定期的に復習し、実践的な知識も身につけましょう。

実践的知識はぜひ車検のコバックへお問い合わせください。

自動車整備士資格一覧・3つの区分の種類とは

自動車整備士資格には、三級、二級、一級の3つの区分があり、整備業務に必要な知識や技術のレベルに応じて分類されます。

また、対応可能な業務範囲も異なります。自動車整備士資格一覧とともに主な3等級の特徴をみていきましょう。

■自動車整備士 資格一覧

一級自動車整備士・ 一級大型自動車整備士・ 一級小型自動車整備士・ 一級二輪自動車整備士
二級自動車整備士 ・ 二級ガソリン自動車整備士・ 二級ジーゼル自動車整備士・ 二級自動車シャシ整備士・ 二級二輪自動車整備士
三級自動車整備士・ 三級自動車シャシ整備士・ 三級自動車ガソリン・エンジン整備士・ 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士・ 三級二輪自動車整備士
特殊整備士・ 自動車タイヤ整備士・ 自動車電気装置整備士・ 自動車車体整備士

出典:国土交通書「自動車整備士になるために『自動車整備士の種類』」https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000003.html

一級自動車整備士の資格は「高水準の知識・技術レベル+指導力」

一級自動車整備士には3つの種類(大型、小型、二輪)があり、国家資格の中で最上位。整備士全体の約3%しかいない希少な資格です。

高度な技術と知識を活かし、他の整備士の指導や、最新技術に対応する役割を担います。

たとえば、水素自動車や電気自動車、最新の電子制御技術やにも精通し、現場でのリーダー的役割を果たす存在です。

受験条件や試験の難易度は高く、合格すると職場での評価が向上したり技能手当が支給されたりすることもあります。

二級自動車整備士の資格は「業務全般を行える水準」

二級自動車整備士は、自動車整備業務全般を担える資格で、三級ではできない業務も実施可能です。

ただし、分解整備や自動車検査員としての業務は一級資格者や整備主任者でなければ対応できません。

二級には4種類(ガソリン、ジーゼル、シャシ、二輪)があり、携わる業務に応じて必要な資格を1〜2つ選んで取得するのが一般的です。

三級自動車整備士の資格は「基本の整備業務を行える水準」

三級自動車整備士は、整備に関する基本的な業務を行える資格で、初心者向けです。

主に上級整備士の指示に従い、単独でブレーキやエンジン、サスペンションなどの分解整備はできません。

資格は(ガソリン、ジーゼル、シャシ、二輪)4つに分かれ、一見、二級整備士と同じ区分にみえますが、三級は工場内の自動車整備主任者には選任されない点が特徴です。

自動車整備士3級の過去問一部をご紹介

自動車整備士3級の過去問では、エンジンの基本構造やオイル交換の手順といった実務に直結する内容が出題されます。

過去問や模擬試験で試験形式に慣れておきましょう。

以下は、自動車ガソリン整備士3級の過去の試験問題の一部です。

■問い1 次の文章を読んで、問いに答えなさい。

図に示すシリンダ・ヘッド・ボルトの締め付け順序として、適切なものは次のうちどれか。

(1) A→J→E→F→I→B→D→G→C→H

(2) B→I→D→G→J→A→F→E→H→C

(3) C→H→D→G→I→B→J→A→E→F

(4) A→B→C→D→E→F→G→H→I→J

■問い2 次の文章を読んで、問いに答えなさい。

「道路運送車両法」に照らし、自動車の種別に該当しないものは、次のうちどれか。

(1)普通自動車

(2)小型自動車

(3)大型自動車

(4)軽自動車

□問い1 解答 (3) C→H→D→G→I→B→J→A→E→F

□問い2 解答 (3)大型自動車

一般社団法人東京都自動車整備振興会 令和5年度第2回登録学科試験【令和6年3月24日】より引用)

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